都内アラサー社労士のひとりごと

都内で日々社労士業務にいそしんでいるアラサーが更新するブログです。

7.同一労働同一賃金 最高裁判決 ~賞与編~

みなさん、こんにちは、こんばんは。

ようやく喘息が復調してきました。

ただこれから年末調整などもありますので、不定期更新のブログにさせてください。

 

初志貫徹できず、申し訳ないです。

計画性というものをもっとしっかりと学んでいきたい所存です。

 

 

さてさっそくですが、気になる最高裁の判決が出されました。

今回はそのうちのひとつの大阪医科大学のアルバイトの有期雇用労働者に対して、

賞与の支給の有無を争われた事案について、私の考えをまとめていきます。

 

個人的に今回の判決をまとめると、

この裁判を基にして、アルバイトに賞与をださない!という判断は早計!

(特に中小企業の皆さん!!)

ということです。

 

ざっくり裁判についてまとめると、

  • 正職員には年間で基本給の4.6月分の賞与が支給されていた。
  • 1年契約で約3年間勤務したアルバイト職員には賞与は支給なし。

 

この待遇差は不合理なので、アルバイト職員にも賞与をだすべきという訴えがあり

今回の最高裁の判断が注目されていたというわけです。

 

なぜこの判例を基にしてのアルバイトに賞与をださない!という判断が早計なのか?

下記に理由をまとめていきます。

 

①業務内容と責任が正職員とアルバイトで大きく違っていた

 

裁判所が注目していたのは、アルバイト職員が退職した後の人材の配置についてです。

 

アルバイト職員と比較対象になった正職員がアルバイト職員と同様の業務をこなしつつ、ほかの専門的業務(遺族対応や試薬の管理業務)もこなしていたとのこと。

 

 

遺族対応や試薬の管理業務もかなりの責任が伴う仕事というのは、

実際の業務を行ったことがない私でも想像がつきます。

責任が求められ、スキルも高レベルの職員でないと務まらない業務です。

 

それに対し、アルバイト職員が行っていた業務は、

スケジュール管理や給与明細の配布といった比較的簡易といえる業務でした。

 

正職員とアルバイトで客観的にみても業務内容が大きく違っているのがわかります。

 

②正職員には人事異動があり、実際に異動も行われていた

 

正職員には人事異動があり、実際に行われていたという実績がありました。

それに比べてアルバイト職員は、業務命令によって配置転換されることはなく

人事異動は例外的で個別な事情で行われていたという実績がありました。

 

比較的日本の法律では配置転換が容易に行われる傾向がありますが、

これはすごい権限です。

場合によっては住む場所やその人のキャリア、家族と一緒に暮らすかどうか?という

その人のライフプランの根幹部分を会社が一方的に行える権利があるのですから。

 

この点を裁判所ではみていました。

 

③賞与の支給実績が業績連動ではなかった

 

多くの中小企業では、業績連動で賞与を支給していると思われます。

(今回のコロナのように、大きく業績が下がったから賞与を下げよう・・・

というのは業績連動ですよね。)

 

今回訴えを起こされた大阪医科大は支給基準として、

原則的に基本給の4.6ヶ月分が基準のようです。

 

裁判所は大阪医大の賞与の支給の目的は、

  • 職務を遂行し得る人材の確保
  • 人材の定着を図る

としました。

 

これが基本給固定で支給するものではなく、

業績連動にあわせて変えられるものであるならば、違った判断が考えられます。

業績連動ならアルバイト職員も会社業績に対して貢献したと考えられるからです。

 

 

話をまとめると特に①の部分については、

中小企業の場合、正職員とアルバイト職員の業務差が非常にあいまいな部分が多く

アルバイト職員でも簡易業務ではなく、

責任を伴った業務を行うアルバイト職員が多いです。

 

今回の裁判をみると今回大阪医科大を訴えたアルバイト職員は正職員に比べ、

「明らかに簡易な業務」を行っていたという事実が大きいように受け取っています。

 

今回の判例を鵜呑みにするのではなく、

あくまで賞与支給の有無は自社での業務内容や責任の程度などで判断すべきです。

 

また、厚生労働省のホームページには、

正職員とアルバイト職員との待遇に違いを設けることを検討する際に使えるツールが

沢山あります。

 

下記URLからみれますので、ぜひご覧になってみてください。

 

www.mhlw.go.jp

 

 

正直個人的には新しい視点や考えが生まれた判例ではなく、

今までの判例や考え方から大きく外れたものではないと考えています。

 

同一労働同一賃金の方向について、今後も動向に注目していきたいと思います。